占いコラム 18

ヴィムショーッタリー・ダシャー

120年周期のヴィムショーッタリー・ダシャー

120年周期のヴィムショーッタリー・ダシャーには、もっとも大きな周期であるマハーダシャー(一次周期)、そのマハーダシャーの中にそれを細分化したアンタラダシャー(二次周期)があり、アンタラダシャーの中にプラティヤンタラダシャー(三次周期)、プラティヤンタラダシャーの中にスークシュマダシャー(四次周期)、スークシュマダシャーの中にプラーナダシャー(五次周期)と細分化できます。

しかし、ほとんどの占星術師はアンタラダシャーまでしか考慮しておらず、一部の占星術師だけがプラティヤンタラダシャーやスークシュマダシャーまで考慮しているようです。

※『ヴィムショッタリー』は、数字の120を意味するサンスクリット語です。ヴェーダ哲学では寿命が短くなったカーリーユーガ(末法)の時代においては120年が人間の最高の寿命であるとされていることから、120年を周期とするヴィムショーッタリー・ダシャーが現代人にもっとも適合するダシャーであると言われています。

マハーダシャーで人生の大きな流れを判断する

120年周期のヴィムショーッタリー・ダシャーで、惑星に割り当てられる期間は、各惑星ごとに異なります。もっとも大きな周期であるマハーダシャーは、太陽6年間、月10年間、火星7年間、ラーフ18年間、木星16年間、土星19年間、水星17年間、ケートゥ7年間、金星20年間の順で巡ってきます。

このマハーダシャーにより、その期間に起こる現象の性質・吉凶・その吉凶の程度など、人生の大きな流れを判断します。人生での大きな節目は、マハーダシャーの変化と一致する傾向があります。

アンタラダシャーで良い時期と悪い時期を知る

マハーダシャーの期間は、最長で金星の20年間、最短でも太陽の6年間あり、そのマハーダシャーの期間中ずっと良いことが起き続けたりずっと悪いことが起き続けたりするということはありえません。良い時期の中にも悪い時期があり、悪い時期の中にも良い時期があるのが人生というものです。

このマハーダシャーの長い期間の中で、良い時期と悪い時期を大きく左右しているのは、マハーダシャーを細分化したアンタラダシャーです。アンタラダシャーは、マハーダシャーによって示された大きな傾向をさらに絞り込む役割を果たしています。

※マハーダシャーを細分化したアンタラダシャーの期間は、マハーダシャーの各支配星に割り当てられた期間を比例計算して導き出します。それ以降のプラティヤンタラダシャー、スークシュマダシャー、プラーナダシャーも同様に比例計算によって導き出します。ここでは詳しい計算方法については省略しますが、インド占星術ソフト『パラーシャラの光』を使用することにより、5段階のプラーナ・ダシャーまでを簡単に自動計算できます。

良いことが起きる時期・悪いことが起きる時期

人生で良いことが起きる時期は、たとえば、木星/木星のように、同じ惑星がマハーダシャー/アンタラダシャーになる時期ではなく、木星/月のように、ある吉星のマハーダシャーと同じような性質をもつ別の吉星のアンタラダシャーが組み合わさる時期となる傾向があります。実際にどの惑星とどの惑星の組み合わせがこのケースに相当するかはそれぞれのホロスコープによって異なります。

逆に、例えば、ラーフ/土星のように、ある凶星のマハーダシャーに別の凶星のアンタラダシャーが組み合わさる時期は悪いことが起きる時期になります(特に、生来的な凶星であるラーフと土星が機能的にも凶星になっている場合はそれが強まります)。

例えば、吉星のマハーダシャーに凶星のアンタラダシャーが組み合わさる時期には、大きな流れでは順調ですが、その凶星のアンタラダシャーの時期には、一時的に停滞したり、失敗したりすることがあります。しかし、この時期には、悪いことがあってもそれほど大事には至りません。

また、例えば、凶星のマハーダシャーに吉星のアンタラダシャーが組み合わさる時期には、大きな流れでは困難や失敗がありますが、そのアンタラダシャーの時期には、一時的に物事が好転し、比較的順調に物事が運ぶようになります。

※ここでいう吉星・凶星は、生来的な吉星・凶星だけでなく、特定のハウスを支配することによる機能的な吉星・凶星のことも意味します。インド占星術における吉凶判断においては、生来的な吉星・凶星と機能的な吉星・凶星とでは、後者のほうが重視です。

※たとえ『吉星』であっても、悪いハウスに在住したり『凶星』からのアスペクトを受けたりして傷ついている場合、そのダシャーの時期には、良い働きよりも悪い働きをすることが多くなります。逆に、たとえ『凶星』であっても、良いハウスに在住したり『吉星』からのアスペクトを受けたりして保護されている場合、そのダシャーの時期には、悪い働きよりも良い働きをすることが多くなります。

プラティヤンタラダシャーで物事が起きる時期を知る

マハーダシャーで大きな人生の流れを理解してその時期のテーマを大局的に捉えた後、アンタラダシャーによってさらに絞り込んだ出来事の傾向や時期の良し悪しを判断します。そして、プラティヤンタラダシャーでは、具体的な事柄が起きる時期を判断します。そのため、細かいタイミングを判断するためにはプラティヤンタラダシャーが必要不可欠です。

※プラティヤンタラダシャーは、微細なので、出生時刻が不正確なときには使用できません。スークシュマダシャーやプラーナダシャーなど、もっと微細なダシャーを使用するときには、さらに正確な出生時刻が必要です。

※マハーダシャーやアンタラダシャーの支配星が、金星、ラーフ、土星など、期間の長い惑星のときは、プラティヤンタラダシャーの時期も必然的に長くなるため、具体的な事柄が起きる時期を絞り込むためには、さらに微細なスークシュマダシャーが重要になります。

ダシャーを西洋占星術に簡単に取り入れる方法

インド占星術を詳しく学ぶ前にダシャーを西洋占星術に取り入れる簡単な方法は、進行法やトランジットを解釈するときに、ダシャーの支配星になっている惑星を中心にアスペクト解釈することです。

進行法やトランジットのアスペクトは、常にたくさんできていますが、それらのアスペクトのすべてが重要なわけではありません。強く現象化することもあれば、ちょっとした心境の変化だけで済んでしまうこともあります。

そこで威力を発揮するのがダシャーです。ダシャーによってクローズアップされる惑星は、普段とは違い、とても強力な影響力を発揮するようになります。

このように、ダシャーの支配星になっている惑星を中心に解釈することにより、重要なアスペクトをかなり絞り込むことが可能になります。これに加えて、ハウスシステム、惑星の機能的な吉凶、分割図など、インド占星術によるホロスコープの解釈方法を取り入れることにより、予測の精度がさらに高まっていくことは間違いないでしょう。