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占いコラム33 【
アシュタカヴァルガ 】
楠 正晴
トランジットの吉凶を測るアシュタカヴァルガ
西洋占星術では、惑星のトランジットを見るとき、あるトランジットの影響が良い方向で現れるのか悪い方向で現れるのかを判断することは意外に難しいものです。それは、土星や火星など凶星のトランジットであっても良い働きをすることがあり、木星や金星など吉星のトランジットであっても悪い働きをすることが多々あるからです。
また、一般的に、スクエアやオポジッションといったハードアスペクトは厳しい作用をおよぼし、トラインやセクスタイルといったソフトアスペクトは調和的な作用をおよぼすと言われていますが、これについても、現実には必ずしもそうでないことが多々あります。そのため、「テーマは的中したけれど、吉凶は逆だった」ということを、ときどき耳にします。
一方、インド占星術には、アシュタカヴァルガという便利な技法が存在しています。アシュタカヴァルガにはいろいろな利用方法がありますが、その中でも、トランジット惑星を使って、運気の良し悪しを判断するときや、トランジット惑星自体の影響が良い方向で現れるのか悪い方向で現れるのかの判断するときに、もっともよく用いられています。
※右のチャートは、J.W.ブッシュUSA大統領のアシュタカヴァルガ・チャートです。
アシュタカヴァルガでは、各星座の強さを出生図中の惑星配置から計算により導き出します。各星座の数値は、その人の出生年月日時刻により、まったく独自のものとなります。
トランジットの惑星が、数値の高い星座を移動するとき運気は高くなり、数値の低い星座を移動するとき運気は低くなります。
※アシュタカヴァルガにおいて、各星座の数値が大きく異なる人は、一般的に、人生の波が大きいものです。一方、各星座の数値が平均的な人は、人生の波が小さいという傾向があります。
成功する人の条件
自分自身を表す1室、それから、地位・名誉・職業などを表す10室、および、10室の努力の結果生み出される利益を表す11室の数値が高く、出費や損失を表す12室の数値が低い人は、社会的に成功する人が多いようです。故Richard
Houck氏は、特に、10室の数値が平均点(28)よりも高く、11室が10室よりも高く、1室が12室よりも高い人は、社会的に成功する典型的なケースであると主張しています。
私(楠)の見てきた経験からもこれは正しいと思います。そして、こういうアシュタカヴァルガのパターンを持っている人の場合、これら点数の高い10室・11室・1室などを惑星が通過するときに大きな発展があるものです。特に、動きの遅い土星や木星のトランジットは大きな運気の流れを理解する上で欠かせない重要な要素となります。
例えば、上記のJ.W.ブッシュUSA大統領のアシュタカヴァルガでは、1室(蟹座)は32点、10室(牡羊座)は35点、11室(牡牛座)は38点ですから、この原則がよく当てはまっています。
標準的な西洋占星術の教本には、10室のMCなどに、土星がトランジットするとき、「試練の時期。しかし、そこで達成があるかどうかはあなたの今までの努力しだい」というようなことが書かれています。これはある程度正しいと思います。しかし、そのような場合に、もし、インド占星術のアシュタカヴァルガを使うなら、10室のMCを通過する土星のトランジットが、実際には、どちらの方向で現れるのかを明瞭に知ることができるのです。
これは木星のトランジットについても同様のことが言えます。10室のMCを木星が通過するからといって、地位・名誉・職業などのテーマにおいて発展するとは限りません。社会的に成功する人としない人とでは、アシュタカヴァルガの数値が生まれたときから違うのです。そして、実際に、トランジットの惑星がそのハウスを通過するときに、その違いを経験することになります。
論理的で分析的なインド占星術
自分が成功する人の条件に当てはまっているからといって、『努力せずに寝て待つ』というような考えは決して持たないでください。残念ながら、そのような人には、成功は決して訪れないでしょう。また、アシュタカヴァルガだけで、すべてがわかると断言できるほど、インド占星術は単純ではありません。
インド占星術には、ヨーガおよびダシャーという、アシュタカヴァルガやトランジットよりも重要な要素が存在しています。人生の何らかの分野で成功するには、出生のホロスコープにおいて、その分野に関連したハウスで、強力なラージャヨーガやダーナヨーガがいくつも形成されている必要があります。そして、人生の適当な時期にそれを発現させるダシャーが巡ってこなければなりません。
ここで言う「出生のホロスコープ」には、基本的なラーシだけではなく、ナヴァーンシャ(9分割)、ドレッーカナー(3分割)、ダシャーンシャ(10分割)、ドヴァダシャーンシャ(12分割)、その他の分割図も含まれています。成功するには、これらのチャートに、強力なラージャヨーガが存在していて、ダシャーによってそれが発現することが前提条件となります。そのラージャヨーガが発現している時期に、トランジットの土星や木星が高い数値の10室や11室を通過しているなら、自信を持って、その人の出世や成功を予言できるでしょう。
このように、一つの判断をくだすには、多くの要素を分析する必要があるのです。一般的に、インド占星術には、神秘的なイメージがあるため、『インド占星術は直感的、あるいは、霊的な占星術』という印象が強いようですが、実際には、一般のイメージとは違い、『インド占星術は論理的で分析的な占星術』なのです。
惑星ごとに異なる個別アシュタカヴァルガ
アシュタカヴァルガには、全ての惑星に共通する集合アシュタカヴァルガの他に、太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星など、各惑星ごとに異なる個別アシュタカヴァルガが存在しています。
トランジット惑星による影響の良し悪しを判断するときには、その両方のアシュタカヴァルガを考慮する必要があります。
個別アシュタカヴァルガは、特に、惑星による違いをよく表しています。土星にとって良い星座が必ずしも太陽や月にとって良い星座であるとは限らず、その逆も、また然りです。

惑星のサイクルの違い
1つの星座を約2年半で移動する土星、あるいは、約1年で移動する木星は、大きな運気の流れを見るのに適しています。
そして、約2年で全ての星座を1週する火星は、それよりも速い運気の流れに対応しています。
また、太陽は、1つの星座を約1ヶ月かけて規則的に移動しますから、毎月(月の半ばから次の月の半ばまで)の運気の変化を的確に表しています。
早い変化に対応する月のアシュタカヴァルガ
月は、1つの星座を約2日半で移動します。そのため、速い運気の流れにとてもよく対応しています。ちなみに、各星座における月のアシュタカヴァルガの点数差が激しい人は、必ずといっていいほど情緒の波が激しいものです。そして、その情緒の変化は、トランジットの月の位置と面白いほどよく一致しています。
惑星が表示するテーマ
アシュタカヴァルガによって一般的な運気を判断できることは前述の通りです。けれども、どのようなテーマについての良し悪しをもっとも強く表示しているかは、それぞれの惑星がもともと表示しているテーマによって異なります。例えば、一般的な運気の良し悪しの他に、太陽は健康や父親、月は母親や情緒、火星は争いや怪我、水星は学習やコミュニケーション、木星は幸運や精神性、土星は試練や達成に関することを良く表しています。
数値が上昇するポイント・下降するポイント
アシュタカヴァルガにおいては、数値の高さはとても重要です。しかし、それだけではなく、低い数値から高い数値へ変化しているのか、それとも高い数値から低い数値へ変化しているのかがとても重要になります。一般に、数値が低いところから高いところへ変化するときは良いことが起こりやすいものです。しかし、逆に、高い数値から低い数値へ変化するときには、たとえ数値が平均よりも高くても注意が必要です。
コンピュータを使用した計算
この大変便利なアシュタカヴァルガの技法はインドに古来から存在しているものの、意外なことに、実は、(インド占星術においてさえ)比較的最近になって注目され始めた技法なのです。
このように、アシュタカヴァルガが明確に機能しているにもかかわらず、最近になるまで注目されなかった理由は、おそらく、その計算に膨大な時間がかかってしまうからかもしれません。
しかし、近年では、パソコンが普及し、占星術の計算に使用されるようになってきた結果、面倒なアシュタカヴァルガを、簡単で、迅速に、計算できるようになりました。
そして、今や、アシュタカヴァルガを含め、多くの精密な計算を必要とするインド占星術には、パソコンおよび占星術ソフトが不可欠のものとなりつつあります。
※ちなみに、インド占星術ソフト『パラーシャラの光』を使用すれば、簡単、で迅速に、アシュタカヴァルガを計算できます。また、この占星術ソフトでは、アシュタカヴァルガに関する様々な機能はもちろん、あらゆるインド占星術の計算が可能です。
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