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占いコラム22 【
惑星の高揚と減衰(ウッチャとニーチャ) 】
楠 正晴
高揚と減衰(ウッチャとニーチャ)
ドラゴンヘッドとドラゴンテイル(ラーフとケートゥ)以外の7惑星(すなわち、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星)には、それぞれに、高揚する星座と減衰する星座が定められています。高揚する星座に位置するとき、惑星は、最大限の力を発揮し、一般的に良い作用をおよぼします。また、減衰する星座に位置するとき、惑星は、最小限の力しか発揮できず、一般的に良い作用をおよぼすことができず、悪い作用をおよぼすことさえあります。
この高揚(ウッチャ)と減衰(ニーチャ)の原則は、惑星の作用の良し悪しを判断するときに、とても重要な要素です。これを考慮することなしには、インド占星術は占星術として成り立ちません。
西洋占星術にも、高揚星座や減衰星座など、惑星の品位(ディグニティー)を判定する、同じような概念が存在しています。しかし、インド占星術におけるそれと異なり、実践では、あまり考慮されていないようです。その考慮されていない理由は、惑星の品位を判定するための土台となる星座帯(トロピカル星座帯)が機能していないからです。
その理由は、『サイデリアル星座とトロピカル星座(1)』と『サイデリアル星座とトロピカル星座(2)』の記事の中で説明しています。興味のある方はご覧ください。また、この内容が真実かどうか、今まで学んできた内容や書物にとらわれず、
※高揚と減衰に関して、ラーフとケートゥには、明確な定説がありませんが、高揚星座として、ラーフに牡牛座、ケートゥに蠍座、減衰星座として、ラーフに蠍座、ケートゥに牡牛座を対応させるという説が有力です。経験上、この説は、正しいように思います。
※サンスクリット語で、「ウッチャ」は「高貴」を意味し、「ニーチャ」は「卑賤」を意味します。英語では、同じ概念を、それぞれ、"Exaltation"(エグザルテーション)、"Debilitation"(デビリテーション)と呼んでいます。
高揚の度数と減衰の度数
インド占星術では、各惑星ごとに高揚の星座や減衰の星座だけでなく、その度数まで定められています。例えば、太陽は、牡羊座の10度でもっとも高揚し、その度数を過ぎると高揚の作用は弱くなっていきます。逆に、減衰の星座は、高揚星座の対向星座にあたり、太陽は、天秤座(牡羊座の対向星座)の10度でもっとも減衰し、その度数を過ぎると減衰の作用は弱くなっていきます。以下に、それぞれの惑星についての高揚星座と減衰星座を記します。
※伝統的な西洋占星術の古典によると、高揚や減衰について、インド占星術と同様に、度数まで考慮していたようです。
※下の表は、一般に西洋占星術で使用されているトロピカル星座帯ではなく、サイデリアル星座帯でしか機能しません。
※天王星・海王星・冥王星などのトランスサタニアン惑星には、高揚・減衰がありません。
| 惑星 |
太陽 |
月 |
火星 |
水星 |
木星 |
金星 |
土星 |
| 高揚 |
牡羊座
10度 |
牡牛座
3度 |
山羊座
28度 |
乙女座
15度 |
蟹座
5度 |
魚座
27度 |
天秤座
20度 |
| 減衰 |
天秤座
10度 |
蠍座
3度 |
蟹座
28度 |
魚座
15度 |
山羊座
5度 |
乙女座
27度 |
牡羊座
20度 |

高揚と減衰は生来的および機能的象意に作用する
高揚や減衰は、たとえば、太陽については、「父親、自我、名誉、心臓」といった生来的象意に影響します。また、それ以外に、たとえば、太陽が1室を支配している場合(すなわち、獅子座のアセンダントの場合)、1室の支配星としての機能的象意である「身体、自我、性格、頭」などにも影響します。
また、惑星の高揚や減衰は、一般的に、身体に与える影響が大きいようです。その高揚あるいは減衰している惑星が、1室(身体を表すハウス)と関連する惑星(すなわち、1室の支配星、在住星、あるいは、それらにアスペクトする惑星)であるときは、特にその傾向が強くなります。たとえば、1室の支配星が太陽で、減衰の天秤座10度に在住している場合は、太陽が示す身体部位である『心臓』が弱くなるという具合です。
※惑星の高揚と減衰を考慮することはとても重要ですが、それ以外に多くの要素を考慮しなければ最終結論は出せません。高揚と減衰を重視しすぎて、高揚や減衰だけで結論を下すことのないようにご注意ください。
ダシャーによって高揚・減衰の作用を理解できる
インド占星術の未来予測技法ダシャーを使って、その惑星が作用する時期に、どのようなことを経験してきたかについて検証すれば、惑星の高揚と減衰の原則について、その作用を明確に実感できるはずです。特に、ある惑星が、高揚の度数や減衰の度数の近くにあるときの作用は非常にはっきりとしています。
下のチャートを見てください。1室(獅子座)の支配星・太陽が、3室天秤座の10度で減衰しています。そこに、6室(病気)と7室(マーラカ)の支配星である土星が、6室(病気)から、アスペクトすることにより、減衰した太陽をさらに傷つけています。この場合、減衰した太陽のマハーダシャー(メインのサイクル)、および、それに悪影響を与えている土星のアンタラダシャー(サブのサイクル)が巡ってくると、減衰した太陽の象意である心臓に不調が生じるでしょう。この場合、心臓に不調が生じるのは、土星からのアスペクトも1つの要因ですが、太陽が天秤座10度で減衰していることがかなり大きな要因となります。
※実際の占い鑑定では、この他に、もっともっと多くの要素を検討してから最終結論を出します。
※マーラカは、2室および7室といった、死の原因となるハウスの支配星および在住星を指します。
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心臓が悪くなる
典型的な例 |
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土星
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ASC
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太陽10°
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高揚は必ずしも吉ではなく、減衰は必ずしも凶ではない
一般的に、高揚と減衰の原則が、惑星の力量にかなり大きく関与し、その惑星の吉凶に大きな影響をおよぼしていることは確かです。けれども、高揚している惑星が必ずしもすべてにおいて吉ではなく、減衰している惑星が必ずしもすべてにおいて凶ではありません。
たとえば、火星が高揚していると、活動的になりますが、他の条件次第では、野心的になり過ぎることもあり、減衰しているときには、消極的になりますが、他の条件次第では、火星特有のぎらぎらとした野心がなくなります。
また、水星が高揚していると、合理的で知能が高くなりますが、他の条件次第では、論理にこだわり過ぎるところがあり、減衰していると、コミュニケーションに問題が生じることがありますが、他の条件次第では、直感や霊感に優れることがあります。
それから、金星が高揚していると、優雅になりますが、他の条件次第では、贅沢になりすぎる傾向があり、減衰していると、品がなく、貪る傾向がありますが、良い意味で質素になる傾向もあります。ちなみに、精神的な修行を実践している者にとっては、減衰している金星のダシャーは、一般的に良い時期となります。
上記の例も、他の条件次第で、結果がかなり変わるため、高揚と減衰以外に、他の多くの要素を考慮しなければ最終結論は出せません。しかし、その条件次第では、上記の例のように、高揚していても良くない性質が出ることがあり、減衰していても良い性質が出ることがあるのです。
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