ナクシャトラ（２７星宿）

インド占星術の２７区分星座 - ナクシャトラ(星宿)

インド占星術には、通常の１２区分の星座帯とは別に、ナクシャトラと呼ばれるサイデリアル方式の２７区分の星座が存在しています。

この２７区分は、毎日その一つの区分を月が通過することから月の２７星宿（あるいは宿曜）と呼ばれています。それぞれのナクシャトラは１３度２０分の幅を持っていて、９つの惑星がそれぞれ３つずつのナクシャトラを支配しています。

日本に拡まっている宿曜占星術はインド占星術とは大違い

日本で、宿曜占星術、あるいは単に宿曜と呼ばれている占いは、インド占星術のごく一部である、月が在住するナクシャトラ（星宿、宿曜）をもとにした占いであり、中国経由で、昔、仏教とともに空海が日本に伝えたものです。

インド占星術におけるナクシャトラ（星宿、宿曜）は、月の位置として、天文学で計算される実際の月の位置を使用しています。

一方、現在日本に拡まっている宿曜占星術は、月の位置の計算に、実際の月の位置とは異なる旧暦を使用しているため、インド占星術を起源としながら、実際にはまったく別のものになっているのです。

※宿曜占星術（宿曜占い）のことをインド占星術（あるいは、インド宿曜占星術）と呼ぶ人たちがいて一部で混乱を招いていますが、実際には、インド占星術を起源としていても、その内容はインド占星術ではないことに注意が必要です。

各ナクシャトラ（星宿）とサイデリアル星座、および、ナクシャトラ支配星との対応

各ナクシャトラに対応するサイデリアル星座、および、ナクシャトラの支配星は以下の通りです。

ダシャーの始まりを決めるナクシャトラ

ヴィムショッタリー・ダシャーにおいて、どの惑星のダシャーから始まるかは、出生図（ラーシ）の月が在住するナクシャトラの支配星によって決まります。

例えば、出生図の月がアシュビニー（牡羊座００度００分～牡羊座１３度２０分）に在住している場合、その人のマハーダシャーは、アシュヴィニーの支配星であるケートゥから始まり、スヴァーティー（天秤座０６度４０分～天秤座２０度００分）に在住している場合、マハーダシャーは、スヴァーティーの支配星であるラーフから始まります。

とても重要なナクシャトラ

インド占星術において、ナクシャトラは、ダシャーの開始地点を決める以外に、とても重要な意味を持っています。

ナクシャトラがダシャーの開始地点を決めることは前述の通りですが、それ以外にも、たとえば、月の在住するナクシャトラは、その人の性格や人生の特徴をみるのに欠かせません。その他、インド占星術の伝統的な手法による結婚の相性診断、ムフールタ（適時選定、あるいは、エレクショナル占星術）などでもナクシャトラの検討が欠かせません。

また、クリシュナムルティ・パダティ（通称ＫＰ）占星術やナディ占星術では、このナクシャトラをとても重要視しています。

※クリシュナムルティ占星術は、インドの伝統的な占星術からは異端視されていますが、かつては、針の穴に糸を通すような的中率の高さが話題になりました。クリシュナムルティ占星術は、ネータルの占星術よりも、ホラリー（プラシュナ）の分野で力を発揮します。

※クリシュナムルティ占星術は、ネータルの分野では、一部の技法が参考になることはありますが、まず、伝統的なインド占星術を学習することをおすすめします。